神道で行うお葬式:「神葬祭(しんそうさい)」
神道で行うお葬式のことを「神葬祭(しんそうさい)」といいます。厳粛でありながら分かりやすいのが特徴です。故人はその家の守り神となって、祖先とともにご遺族・子孫をお見守りくださります。生前のお名前に尊称をつけた霊号(「諡(おくりな)」)をおつけします。
霊号(「諡」)は、老若男女の区別はありますが、身分や金額による違いはありません。
近年ではこうした神道の考え方に共感する人々も多くなり、神葬祭を希望する方が年々増えてきています。
「神葬祭で行いたい」とお考えの方へ
近年、様々な理由からお葬式を神葬祭で行いたいという方が増えてきています。故人の急逝からの慌ただしい手続きで時間が取れない、また祖先の御霊のおまつりの仕方やお墓のあり方などが仏式とは異なり不安があるかと思います。ご心配事がありましたら、ご相談ください。
神葬祭のおおまかな流れ
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遷霊祭(せんれいさい)・通夜祭(つやさい)
故人がお棺にお納まりになられたことをご奉告し御霊(みたま)を霊璽(れいじ)にお遷しし、お家の守り神となっていただくことをご奉告いたします。神さまの子として現世に生まれた故人が、再び神さまの世界へ帰ることをご奉告いたします。
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葬場祭(そうじょうさい)ー告別式ー
ご家族・ご親族、ご参列の皆さまとともに故人を偲び、現世での最後のお別れをいたします。祭詞奏上、玉串拝礼のほか、弔辞の奉呈や弔電の奉読などを行います。
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帰家祭(きかさい)・直会(なおらい)
火葬場より、ご遺骨が住み慣れたお家に帰られたことを命(みこと)さまにご奉告いたします。その後、葬儀でお世話になった人々の労をねぎらうための会を行います。
葬儀後の節目のおまつり
神葬祭によりお家の守り神となられた故人に対し、節目のおまつりを神職が執り行います。これを「年祭」あるいは「御霊祭」といい、普段の生活をお守りいただいていることへの感謝をお伝えし、故人を偲び、ご神徳をいただいて子孫の繁栄をお祈りいたします。
- 十日祭
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帰幽日より10日を経たことをご奉告いたします。葬場祭当日にあわせてご奉仕いたします。
- 五十日祭
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帰幽日より50日を経たことをご報告いたします。故人の御霊(霊璽)を御霊舎(祖霊舎)へとお移しいたします。この日を持って故人は祖先と同じ守り神となり、忌明けとします。この日に納骨をされる方が多いです。
- 百日祭
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帰幽日より100日を経たことをご奉告いたします。以後、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭、それ以降は5年ごとに祭祀を行い、五十年祭をもって「まつりあげ」とします。
※節目のおまつりは故人のご親戚やご友人などもお呼びして行う、比較的規模の大きなおまつりです。そのため、お家で行うことが難しい場合には斎場、ホテル等を利用する場合もあります。
「御霊舎(ごれいしゃ)」とは祖先をおまつりするためのちいさなお社のことで。五十日祭ののちは故人の霊璽もこちらへ納めます。神棚よりも低い位置に設けます。形式にこだわるよりも、お家の守り神となられた故人を想いながら共に毎日を過ごしていける、そんなおまつりの仕方を考えましょう。
よくあるご質問
- 神葬祭に参列する際の服装について教えてください
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神式の葬儀には、通夜祭や葬場祭(告別式)、一年祭までの霊前祭や一年祭後に行われる祖霊祭(仏式の法要にあたる)など一連の儀式があります。
こうした儀式に参列する場合、服装について戸惑うことがあるかと思います。
服装については、友人や知人の通夜に弔問するとき、喪服を着用しないのが本来のマナーです。急いで弔問に訪れたという気持ちを表すためにも、地味な平服(スーツなど)で差支えありません。
ただし、告別式に参列できず、通夜祭だけの弔問になるような場合もあります。
その場合、現在では喪服(男性・略礼服、色無地の羽織袴/女性・黒のワンピース、スーツ、黒無地の和装)を着用することもあります。葬場祭(告別式)後の霊前祭・祖霊祭については、一般的には一年祭がひとつの節目と考えられ、一年祭までを「神葬祭」とし、それ以降の儀式を「祖霊祭」と区分けがされています。
一年祭の後は、男性の場合はダークスーツなど華美ではない服装に、女性もこれに相当する服装となります。また、5年、10年と年数を経るにつれて徐々に平服(スーツなど)にしていって構いません。
- 親の喪(も)にあたる場合、参拝を慎む期間はどれくらいですか?
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古くから、親族の喪にあたる場合は、神前に参ることを慎みます。
忌服(きぶく)の「忌」とは、死者の穢(けがれ)がついているので、世間に出ることを慎む期間であり、「服」とは喪服のことで、喪服を着て謹慎している期間をいいます。
なお、期間が定められている理由としては、死者へ向けられた悲しみを次第に薄ろがせて、慎んだ生活状態から少しずつ平常の生活状態へ戻すためだともいわれています。現在では、最も重い父母の死で五十日、神社参拝や神棚のおまつりを遠慮します。
死亡者
喪に服す
父 母
50日
夫の父母
30日
祖父母
30日
曾祖父母
20日
高祖父姑
10日
伯叔父姑
20日
兄弟姉妹
20日
甥 姪
3日
夫
30日
妻
20日
子
20日
孫
10日
曽孫玄孫
3日
- 神社神道(しんとう)の死生観について説明してください
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神道は祖先を崇敬する信仰が基になっています。人は死後、家族や親族を見守る霊となって祖先神の仲間入りをすると考えられます。
「日の本に生まれ出にし益人(ますびと)は神より出でて神に入るなり」
これは、祖先の神々から出たものは、やがて一生を終えると祖先の神々の所へ帰っていくのだという意味であり、この歌は実に明確に日本人の死生観を表しています。日本人の生命は、祖先から自分へ、自分から子孫へと永遠に「血」と「心」の連続を形成するのです。いいかえれば、これは霊魂の不滅、霊魂の引き継ぎともいえるでしょう。
そして、日本人の「霊」は、仏教でいうような十万億土にいくのではなく、わが家、わが郷土、わが国に留まって、祖神と共に子孫の繁栄を見守り、子孫からのお祭りを受けるのです。
- 私たちの霊魂は不滅ですか?
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肉体は滅びても、霊魂は永久に不滅です。私たちは結婚して、産土神(うぶすながみ)(氏神(うじがみ))の偉大なる力(をいただき、夫婦の霊魂が結び合わされて子供を授かります。つまり、子供に両親の霊魂が引き継がれるわけです。そして、子供は親から引き継いだ霊を核として自らも努力し、自分自身の霊魂を作り上げていきます。私たちの霊魂は祖霊の元へと帰っていくのです。